健康のためには、野菜や魚介類は良くて肉食はダメだという人から、長生きをするなら歳をとっても肉食をするべきだ、いや反対だと、それぞれの立場からの本もたくさん出ております。
まぁ、そんな「肉食」への過度の反応はなんだろうと考えていました。
肉食に関して長年疑問に思って、スッキリしないことがあります。
それは、肉食に対する考え方の違いです。
神の使いだからとか、けがれているからとか、食ったり食わなかったりと、もういや、わかんなーい、と夜も眠れません。
色々と事情はあるでしょうが、最初に「ダメ」と言った人の好き嫌いじゃないのかと、ハルコは勝手に思っています。
日本でも、江戸時代が一番、肉食に対する禁忌があったようなイメージがありますが、正確には天武天皇による「畜生の殺生禁断令」が天武3年(674年)に発せられ、驚くなかれ、明治5年1月24日に明治天皇が「自ら膳宰に命じて」牛肉を試食するまで、1200年間も、肉食をしてはいけなかったのです。知ってました?
「肉食はダメ」という仏教的思想の考え方から、やがて日本民族の多くに「けがれ」という意識が広がり、肉食を否定する国になってしまいました。
と、言っても本音と建前の民族性でけっこう肉食をしていた人々もいたようです。
例えば、あの水戸黄門も肉食をしていたとの記録があり、徳川御三家の紀伊藩藩邸跡から、大量の獣肉の骨が発掘されています。発見されたのはごみ捨て場から鹿、牛、馬、野兎などの骨です。
どんな理由で食べていたかと言うと、表向きは薬の一つとして食べていたのですね。
それらを買い付けていたのは、「獣店(けだものだな)」や「ももんじ屋」と言われる種類の店です。ちなみに「ももんじ」とは、バケモノと言うような意味があります。
最も古くから食べられていたのは「猪肉」です。古代では肉の総呼は「しし」と言っていたのですが、区別が付きにくいので「いのしし」とか「かのしし(鹿肉)」と称したのです。猪肉は別名で「山鯨」とも言います。鯨は魚の種類と思われていて、猪肉の味が鯨に似ていて、「やまくじら」と隠語で表されています。また、「牡丹」と植物の名前で呼ばれているのはご存じだと思います。馬肉は「桜」、鶏は「柏」、鹿肉は「紅葉」などで現在も名前として残っていますね。
日本が正式に肉食を解放して、141年ですが、「肉を喰う」という文化は本当に成熟しているのでしょうか……。