2012年11月30日金曜日

奇妙な仕事……4

今日で11月も終わり、今年も残すところ1ヶ月です。焦ってきますね。
焦ると言うと、昨日からの続きです。


そうそう、本のタイトルを失念してましたね。
『街場の料理の鉄人』という名称で、「料理の鉄人」に登場した道場、坂井、陳を始め、挑戦者が密かに認める街場にある料理店を紹介する、という内容でした。
まず、鉄人からから推薦の店を選んでもらうのですが、その説明と説得に出かけて交渉するのが大変でした。中には断られる店もあり……。
その上担当編集者は入院するし、期限は決まってるし、毎日午前中は電話のかけまくり、取材はアポ取り、午後の料理店のアイドルタイムでの取材撮影になりまます。
多いときは1日3組の取材チームが同時間に撮影してました。
この時始めてハルコは携帯電話を持ったのです。

取材先でも、さらに明日の撮影の確認し、事務所に戻ると前日の写真が出来ていて、ポジフィルム(デジタルでは無いですよ)を切り出しながらタイトルを付け、コンテを作成してそれを夜中にデザイナーへ指示を出し、上がったレイアウトを確認したら、今度はライターへ原稿を書いてもらうためにFAXでレイアウトを送り、上がってきた原稿に目を通して赤字を入れて……。こんな調子で、毎日ヘトヘトになってました。
取材撮影がほぼ終盤にさしかかり、最後の取材先では、料理の鉄人に登場したフレンチのシェフと、推薦した店の料理人とを対談をさせるために最後の撮影に行ったのが、忘れもしない、1995年3月20日。
何故この日にちを覚えているかというと、この日「地下鉄サリン事件」が起きたのです。荻窪に向う地下鉄の中は乗客も少なく、網棚に不審物が無いかとキョロキョロしてしまいました。
料理人の対談の前に話を聞いていたら、その方が丁度サリンが撒かれた電車に乗っていたそうなのですが、途中でお腹が痛くなり下車して難を逃れたと……。
本当にその時はぞ~っとしました。

今まで、本を造っていて全然出版社に見せない、ということはあり得ませんが、この本に関しては一切出版社に見せなかったのです。
時間も無いし、本来なら少なくとも編集とデザイナーは打ち合わせをする必要がありますが、ハルコがアートディレクターと編集長を兼務したので、3週間で本が出来たのです。その陰で、フジテレビの事業部の担当者が、心配で毎日ハルコの事務所に通っておりました。

やっと無事に本が間に合い、完成しました。
そして、そこからフジテレビ事業部から「奇妙な仕事」の依頼があったのです。
(つづく)

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