
このストーリは、刑務所内の雑居房で正月のおせち料理の争奪のために受刑者が今まで最高に美味しかった料理の思い出を語るという構成ですが、ハルコは“はた”とあることを思い出しました。
このシチュエーション、どこか記憶にあると……。
毎度昔話ですみません。18年前のことです。
今は亡き料理評論家の見田盛夫先生(見田先生のことも機会を見て書きます)から電話をいただき、ある料理を食べる会があるから、とのお誘いでした。
その料理とは「ドゥダン・ブーファン」という名称だったのですが、「ドゥダン・ブーファンって何?」ですよね。
会食をしたのは、今は無くなってしまった銀座ホテルのレストラン“パストラル”で、シェフは鎌田昭男さん。
「ドゥダン・ブーファン」とはフランスの作家マルセル・ルーフ(Marcel Rouff)が1925年に書いた小説『ドゥダン・ブーファンの生涯(La Vie et Passion de Dodin-Bouffant)』という小説の中の主人公の名前なのです。
主人公は稀代の食通という設定ですが、(ここから、うろ覚え)パリが普仏戦争で包囲された1870年に塹壕に立て篭っていた主人公達が、平和になったらこんなモノを食べたい…と空想の料理の話を競いあった時に、ドゥダン・ブーファンが究極のポトフの話を始めます。
それはポトフなのですが、ありとあらゆるフランス中の究極の牛肉、軍鶏、ブレスの鶏、羊、仔牛、豚、ハム、ソーセージに各種野菜を入れ、煮くずれるまで煮込む…。
この小説を読んだ偉大な料理人アレクサンドル・デュメーヌ(Alexendre Dumaime1895-1974)がフランス中の食通を集めて供した料理が「ドゥダン・ブーファン式ポトフ」でした。当然大絶賛を受けたのです。
ハルコ、食べましたよ!ホホホ(自慢!!)
デュメーヌは4つのコースですが、鎌田シェフは全8品のコース。
1. オックスタンとフォアグラのミルフィール仕立て
2. オックステール・エスカルゴ・きのこのガレット香草風味
3. フォアグラのコンフィ レタス包み
4. 挽き割り小麦入りスープ セルフィーユの香り
5. 仔牛のフィレ肉のポッシェサフランライスの野菜添え
6. 牛肉のキャベツ包みブイヨン煮 骨髄のトースト
7. ポロ葱のサラダ トリュフドレッシング
8. フルーツスープのパイ包み焼き
おそらくこのメニューは2度と食べる機会はないでしょう(あっても食べられそうもないですが)。
さらに食後に、フロマージュの盛り合わせを食べていたハルコを見田先生に、「フッフッフッ、若いね!」と、言われたのを昨日のように思いだします。
暫し、映画や小説の中の食物語を書きます。
(つづく)
●中国飯店
市ヶ谷にある、政財界人がよく使う有名な中国料理店です。オクサマから呼び出しで、よくお供をします。まぁ、中国飯店ではラストオーダー少し前入店なので、簡単な晩ご飯ですね。最後の焼きそばがハルコの好物でございます。




先生のブログ拝見していますよ。
返信削除毎日ちゃんと書いているのがえらい!
miyukiさま
返信削除投稿ありがとうございました。
がんばって毎日(だいたい)ブログアップします。