2018年8月6日月曜日

「珈琲に玉子の殻」明治時代の廃物料理法





100年以上前の
日本人も一般常識として
こんな知識を
持っていたという話。














明治時代に村上弦斎という小説家がいて、彼の書いた『食道楽』は
徳富蘇峰の『不如帰』と並んで大ベストセラーになっていた。
内容は小説の形を取りながら、物語の筋に600以上の料理や食材が
はめ込まれていて、『報知新聞』の人気連載小説だった。
現在手元にあるは岩波文庫版『食道楽』(上下)で、中身を読んでいると、
日々連続の連続で、ブログを読んでいる感じなのだ。

この本にある料理の原型の記載があるので目次を追って行くと「第十四 廃物料理」。
明治38年(1905年)と100年以上前の日本でこのような知識を
持っていたとはちょっと驚く。

箇条書きにすると、
・満腹で消化を助ける化学的な方法として、果物(りんごの淡雪)を食べる。
・牛肉をやわらかくするためにパイナップルの汁をかける。
・心太(ところてん)を食べて黄な粉を舐めると心太が溶ける。
そして、りんごの淡雪の作り方には、「りんごを切って、砂糖を少し入れて、
「蛍火(とろ火)」で熱して汁を出して、やわらかくなったら裏ごしして汁を
ゼラチンで固めると。
「ゼラチンは?」という問いに「西洋膠(にかわ)」のことだと。
そして、珈琲を美味しくするには、玉子の殻を捨てずに取っておき、
珈琲を煎じる時に、殻を混ぜてよく砕いて、
搔き混ぜると珈琲のアクが殻についてL濾さずに茶碗に注いでも
黒い粉が出ずに,味も淡泊になり美味しいと。
(殻に残っている白身が及ぼす作用で、フランス料理では灰汁抜き
「ブランシール」に卵白を使う)

100年以上前に現在でも通用する調理科学を、村上弦斎は知っていたのだ。
もう、一度読み直してみよう。(完璧に忘れていた)
2012年に「職業としてのフードライター」というタイトルで村上弦斎のことを
書いており、ご興味有る方はこちらからも。
http://otetudaiharuko.blogspot.com/2012/11/4_22.html

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