2012年7月26日木曜日

立ち食いレストラン


今、東京のフレンチが凄い事になっています。「俺のフレンチ」が多店舗展開をし、安くて本格的なフランス料理を提供していますね。

この40年近く、東京のフランス料理を観察してきたハルコとしては、ビックリしております。
バブルが弾けた頃に、安価なビストロ風の料理を提供したり、プリフィクスを売り物にした店が増えて、フレンチのカジュアル化が進みました。
そして立ち食いフレンチ、ここに極まれりですね。
背の高いテーブルに椅子無しで、1日のひとテーブルの回転率が2回転以上。これが安価でもフレンチレストランをやっていける理由だそうです(その他に居抜きで内装にお金をかけない)。
 海外、特にスペインに行くと、夕食は下手するとバルのハシゴで、数時間で4~5軒廻って立ち飲み、立ち食いしてますが、相当体力が必要です。
平均2時間程度が立ち食いフレンチの滞在時間らしいですが、通常のレストランなら倍の時間は居ますね。

この現象を見ていて思う事があります。
何を期待して、料理屋さんへ行くのだろうか?
確かに、美味しい物が安価で食べられる事は重要です。
バブルの頃に内容の無い、コピーしたような料理をバカ高い値段で出していた多くの店は淘汰されました。
立ち飲みの居酒屋さんやバルは、その雰囲気自体を楽しむ場です。
それなりの作法があるのですが、個人的には安くてもキャビアやフォアグラを立ったまま食べたいとは思いません。皆さん、そんなに旨い物を食べたいのでしょうか。
まぁ、ひとつの流行なので一度は、という方も(実はハルコもそうなのです)多いのではないでしょうか。

この20年くらいの日本人の食スタイルは、「部分の切り取り」のような感じがします。作法や型は破壊されて、切り取られた部分の寄せ集めになってしまっているのではないでしょうか。
和洋中が混在している日本では、ひとつの食事の中で不思議な混在が普通にあますね。
学校給食でもへんてこな献立だったり、家庭の食卓にも居酒屋現象が起きたりと、バラバラに切り取られて、自分の好みの物だけを集めて並べる。
まぁ、昨日今日に始まったのではなく、バイキングスタイルがその最初のような気がしますが、レストランは作法を理解してこそ楽しめるような気がします。
単に楽しければ、旨ければいいという風潮には、食文化は育たないような気がするハルコでした。

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