2012年7月18日水曜日

「旬」再考

梅雨が明けて、思い切り暑いですね。余りの暑さに、また冷たいもの(主としてビール)を飲み過ぎ、クーラーの効き過ぎた部屋でうたた寝をしたら(すみません節電します)、案の定喉が痛くなり少し風邪気味です。 6月の喉風邪がまだ完治していないようです。


ハルコが料理関係の販促のお手伝いをしていて、頻繁に企画書に登場するのは「旬」という言葉です。
これは、1年を通した企画提案には重宝な言葉です。
百貨店やスーパーマーケットにしても、通年・通常ある物ばかりでは、売場が変わり映えしません。
そこに「旬」というキーワードを入れると、色々な季節の色彩溢れる売場になるのです(はずです)。
またこの「旬」と前後して、「走り」「名残り」というキーワードを増やすと、それまでソロだったものが、トリオに変身します。
日本(の)料理の素材の基本は、「走り」「旬」「名残り」の3つの組み合わせから成り、それを好しとする食文化が形成されてきました。
ただ、それを即家庭に応用というのは大変ですが、懐石や会席料理ではその組み合わせもまた楽しみです。

と、前置きが長くなりましたが、ここから本題です。
随分「旬」のことを仕事のネタにして来ましたが、ハルコは大いに疑問に思っていることがあります。
それは、「旬」の標準化です。
しかし、それはどだい無理な話ですね。
日本列島は南北に縦長で、筍ひとつ取り上げても、11月末の鹿児島かから7月の東北の筍(種類は違いますが)まで、半年以上の差があります。
ここでいう筍の「走り、旬、名残り」は京都、大阪と東京での標準で、料理屋さんで出すタイミングと、家庭で消費できるタイミングは1~2ヶ月の時差があります。

話は海外に飛びます。
ヨーロッパの地方都市の市場で見かけた、一番美味しそうな「旬」の素材を楽しみにして夜のレストランへ行くと、盛りの素材はどこにも無いのです。
安くなって出回ると、レストランではお金を取れないので、まだ市場に出回ってない高価な素材を出しているのです。それを旬の時期に食べたければ家庭でどうぞ、ということですね。
ただ、通りがかりの旅行者としては大変残念なことです。

英語では
「旬=season, best season」「走り=first」「名残り=remains」
「たけのこは今が旬だ=This is the best season bumboo shoots」
となりますが、日本語の様な微妙なニュアンスとは違いますね。
個人的な解釈ですが、「走り、旬、名残り」一番難しい立場は「名残り」ではないかと、考えています。
「旬」が最大勢力を誇っているのでわかりやすく、「走り」は若さ、希少性ですぐに話題になりますが、「名残り」は判りにくい。
かつて勢いがあり一大勢力を持っていたのが、数が少なくなり、「まだいたの!有ったの!」と言われる「名残り」こそが、侘び寂びの、滅びの文化の本質ではないかと思うのです。

そしてまた、新しい季節が始まれば、走りといわれ、旬となり、名残りに至る。
「名残りおしけれ」人の世の、人生と似ていますね。

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