2014年11月6日木曜日

カスレ

以前、伊勢丹のキッチンステージで、ブラジル料理を提供しました。
そのメニューの中に、ブラジルの国民食と呼ばれる「フェジョアーダ」という料理があります。
「完全なフェジョアーダ」という意味のフェジョアーダ・コンプレタ(feijoada completa)とも称され、黒いフェイジャオン(隠元豆)と豚の脂身、豚や牛の干し肉または燻製肉、リングイッサという生ソーセージ、豚の耳や鼻、足、尾、皮などを、ニンニクと岩塩の塩味でじっくり煮込んだ料理です。
この料理をブラジル大使公邸で撮影していた時に、どこかで見たような料理だと思いました。豆と色々な肉やソーセージを煮込んだもの……「そうだ、カスレだ!」

カスレ(cassoulet)フランス南西部の豆料理で、やはり豚肉ソーセージや羊肉、ガチョウ肉、アヒル肉等と白インゲンマメを、料理の名前の由来にもなったカソール(cassole)と呼ばれる深い土鍋に入れ、長時間煮込んで作る豆のシチュー(キャセロール)なのですが、スペインやポルトガル(当然ブラジルはポルトガルから)、イタリアなどでも昔からありますね。


これも以前の話ですが、パリの5区にある「ラ・トリュフィエール(La Truffiere)に、パリで働いている修行中の料理人達と食べに行ったのです。
ムスタール街近くのトリュフが売りの店で、トリュフ料理を中心に頼み、メインに「カスレ」にしたのですが、まぁ、量が多い多い!
鍋からてんこ盛りに、これでもか!と乗っけて、少しでも皿に隙間が出来ると、更に盛ってくるのです。
「カスレのわんこそば状態や!」

その時に思ったのは、これは肉類の味を豆に移した料理なのだということです。
カスレは随分食べましたが、ここのカスレに比較出来る味には出会っていません。
今なら他の料理は食べず、カスレだけにするでしょう。

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