これは、以前、四川料理の辛さについて考察した再録です。

結論から言うと、四川料理が辛いのは地域性によるものなのです。
四川は中国の内陸にあり、盆地で夏は非常に蒸し暑くなります。そうすると、さっぱりした味つけではなく、元気が出て食欲が湧く辛い味つけになっていくのです。
さて、その辛さの役割はには2種類あり、「痛」と「熱」が複合化されたものなのです。
「痛」には大きく分けて、鼻にくる“ツーン”とした山葵や芥子の辛さと、舌先に“ピリッ”とくる胡椒や唐辛子や山椒の辛さがあります。
四川料理は後者の舌先にくる「痛」なのです。
以前、取材で陳健民さんの弟子の橋本暁一料理長にお話を伺った時に、ハルコが「料理する時に辛さの味見をするのですか?」と尋ねたら、「いちいち味見していたら、舌が麻痺して料理が出来ないね。ハハハ」
う~む、辛さは客を実験台にしていたのか!
蒸し暑い四川地方なので、辛いものを摂取すると代謝が良くなります。
“カプサイシン”は血行を良くして食欲を増進させ、発汗を促します。発汗による気化熱で体温が下がりますね。
また、辛みの中には殺菌作用があるので食中毒を防ぐ効果もあり、蒸し暑い地域では本能的に辛い料理が求められているのですね。
さらに、人間の脳内には痛みを抑える脳内物質が存在しています。ドーパミン、セロトニン、メラトニンですが、四川料理の中には唐辛子の辛い「熱」や山椒のしびれる「痛」には脳内の快感物質同様に「熱さ」や「しびれ」が段々と快感に感じられ、「美味しい」と錯覚して脳を騙す効果があるのではないでしょうか。
厠にて 昨夜食べたる 四川かな
ハルコ心の俳句(これが本当の“しも”の句。……失礼!)
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