2013年3月29日金曜日

粥嫌いの言い訳、あるいは弁明

昨日はじゅんさいが嫌い、と書きましたが、もうひとつ「粥」が苦手なんです。
中華のランチなんかを食べに行くと、「これにはご飯とお粥が付きますが、どうなさいますか?」とよく聞かれますよね。
ハルコは間髪入れずに「ごはん!」と言うのです。


確かに、京都の瓢亭の朝粥は旨いと思いますが、やはりごはんが好き。
は、普通の飯よりも水分を多くして柔らかく炊いた飯(そんなの常識)の総称ですが、昔は「強飯(こわいい)」と呼ばれる蒸した飯が一般的で、釜で炊いた飯はすべて「かゆ」と言っていたのです(知ってました?)。
現在の飯を「固粥」、かゆは「汁粥」と区別していたんですね。
わが家では土鍋でご飯を炊いているので、米と水分量によっては、随分柔らかい「固粥」になることもありますが。

同じ粥でも、これが中国や朝鮮なら立派な料理になるのですが、日本だと病人食というイメージが強いですね。
ハルコも幼少のみぎりは体が弱くて、小学生の頃は月に一度は具合が悪くなり、頻繁に休んでおりました。
その時、最初は「重湯」。いや、本当に糊のスープですね。まったく味のしないものを飲まされ、次に「三分粥」。そして、やっと3日めに「粥」だったのです。
これを10年くらい続けていたので、粥嫌いになるのもむべ成るかな。

粥に関しては朝鮮・韓国料理の方が優れていると思うのですが、いかがでしょうか。
松の実粥、帆立粥、肉粥、小豆粥、鮑粥、鶏粥……。と、食欲がそそられますね。
鮑粥なんかは本当に高級粥ですね。それこそ、昔的な汁粥ではないでしょうか。

今度、苦手な粥の研究をしてみようかしらん。と、ちょっと考えたハルコなのでした。

2013年3月28日木曜日

じゅんさいは忘れた頃にやってくる!

よく、料理屋さんで「苦手な食材やお嫌いな食材ははありますか?」と、最初に聞かれますよね。ハルコはいつも「不味いもの!」と言っていますが、本当に嫌いなものがあるのです。

その筆頭は「じゅんさい」です。
これから、日本料理屋さんへ行くと頻繁に出てきますね。
もうひとつ、ダメなのは「ホタルイカ」なのです。

じゅんさいと違って、「ホタルイカ」は最初から嫌いだったわけではないのです。
もう20年も前でしょうか。ホタルイカが東京では希少で、珍重されていた時代がありました。
日本料理屋さんでぽつぽと出てきて、初めて食べた時には「ほう、これがホタルイカ。酒が進むなぁ」なんて思っていました。
しかし、ある時に1週間の間に行く店行く店で、3日間連続でホタルイカが出てきた時に、「うはぁ、だめだぁ……」と、食べられなくなったのです。
ハルコにとっては、不幸な出来事ですね。何せ、最初は食べられたのですから……。
それに引き換え「じゅんさい」はどうしてもいけません。それに、大体酢の物として出てくる場合が多いじゃないですか。
元々、酸味のあるものや酢の物は好きではないのです。それに加えて中にじゅんさいが入っていると、もうダメですね。

これからハルコにとって、この二重苦の季節が始まります。
今では最初から「じゅんさいとホタルイカは食べられません」と宣言するのですが、最近は日本料理屋さん以外に、イタリアンやフレンチでも出てくるので要注意ですね。

とある日本料理店に、ハルコがじゅんさいが苦手だと、よく知っている料理人さんがおります。
彼は「ハルコさんは、じゅんさいは嫌いですよね」と言いながら、カウンターで向付にじゅんさいの酢の物を作って、出した瞬間に「あれ?」と首をかしげたのは「神楽坂石かわ」
……ダメじゃん!

2013年3月27日水曜日

和だしのスープ

朝から冷たい雨ですね。
もうすぐ4月とは思えない気温ですが、明日は20℃くらいになるとか。こんなに変化が激しいと、体調を崩す人もいるのではないでしょうか。

昨日、4月に発刊の 『からだが喜ぶ和だしのスープ』の見本が届きました。
著者は中村新さん。世界文化社刊(1300円+税)で、A5版のカワイイ本です。
昨年末に神戸で怒濤の写真撮影をし、レシピから編集デザインと、ハルコとしては珍しくちゃんと関わって出来た本です。
昆布の水出しをベースに、他のうま味食材を組み合わせたレシピ本です。
中村新さんはこの本のオリジナルで、「贅沢だし」というのを考案して下さいました。
水だし昆布に鰹節、煮干し、干し貝柱、干し椎茸、干し海老に、干し玉ねぎを加えて奥行きのあるうま味を作り出します。
 中村新さんは、辻調で先生もしていた時代にTBSの「料理天国」にも出演し、フレンチのシェフからフードプロデュサーに転身した方で、和のだしを洋にもエスニックにも応用してレシピを完成させたのです。

撮影中に試食する度に、「あぁ昆布だしって、こんな使い方があって美味しいんだ」と幾度も思いました。
ここ10数年で、だしへの認識は高くなってきていますが、今年も「和だし」がブームになりそうな予感がします。

2013年3月26日火曜日

皿の裏の汚れ

ハルコがまだハルコじゃなかった(?)時代、家事はあまり得意ではなかったのです。
と、いうよりも全く興味がありませんでした。
そんな中でも、食事の後の皿洗いくらいはお手伝いしておりました。
いつも、必ずオクサマから「皿の裏が汚い!」と怒られたもんです。
皿同士を重ねると、裏に汚れが付いているのに気が付かないんですね。
「皿を洗う時は、ちゃんと裏まで見る事!」と教育的指導を受けたのです。


その頃、料理研究家の先生のスタジオで撮影する機会があり、ハルコは先生ではなくアシスタントの方の動きばかりみてました。
その方の動きは見事で、先生の動きを邪魔せずに、必要なものを素早く、不必要なもはさっと片付ける。まるで、舞台の黒子さんのようでした。
「これは参考になる!」と思い、オクサマの廻りでその動作をしたのですが、もうお判りですね。
「ちょろちょろしてうるさい!」と、怒られただけでした。

あれから月日が流れて、あいも変わらず「皿の裏が汚い!」と怒られているハルコって、進歩がないですね。
ダメじゃんハルコ!

2013年3月25日月曜日

夢の中の夢

今日は埼玉の深谷まで撮影へ行っており、事務所に夕方に戻ってきました。
あぁ、深谷は遠い!


昨夜はイタリアンのシュルシュリのレセプションで飲み過ぎて、逆流性食道炎のおかげで早朝に眼が醒めてしまいました。
テレビを付けたら韓国ドラマの再放送をしていて、キムチでマッコリを飲むシーンがあり、また気持ちが悪くなり、いかん、寝なくちゃ……と、また眠りにつきました。
そこでを見たのですが、韓国料理屋さんでキムチでマッコリを飲む夢!
その夢の中で気持ちが悪くなって寝てしまう夢を見てしまい、夢の中で眼が醒めたら、何と時間が正午過ぎ。
あぁ、深谷に12時半までにカメラマンと着かなくてはいけないのに、寝過ごしてしまいました。
慌ててスケジュールノートを見ると、グジャグジャで読めない!
カメラマンにメールをしようとするのですが、メールが出てこない!
あぁ、今日の撮影はどうしよう……。

そこで本当に眼が醒めたのですが、まだ寝ぼけていて、「あぁ遅刻してしまった。片道1時間半もかかるのに……」
そして、本当に眼が醒め、外はまだ薄暗いではありませんか!
あぁ、夢の中の夢で今朝は起きたのでした。

2013年3月22日金曜日

肉と野菜の日々

今週は週の半分が撮影で、ゆっくりとブログを書いている余裕も無い週でした。
今日も朝から撮影ですが、考えると今週の食生活は何とも極端な状態です。

月曜日は一人当たり250gの牛好き焼きを食べる会に参加し、火曜日からは野菜を最初に食べる健康法レシピの撮影。思い切り大量の野菜を食べたので、撮影が終わるとその反動でトンカツを食べ、さらに休みの日には脂ギッシュなパーコー麺を食べ、また野菜、肉……。
と、イメージでは体が酸性になったり、アルカリ性になったりと大忙しで、そのおかげでイマイチ体調がすぐれません。


元々、外では肉、家では野菜とバランスを取っていたのですが、外で野菜ばかり、肉ばかりと続いてしまいました。
トータルすれば同じですが、体が戸惑いを覚えたようです。
これが炭水化物中心なら平気なのですが、どうも肉と野菜だけではいけませんね。
と言いつつ、撮影の野菜料理を食べながら、今晩は肉を喰うぞ!と思うハルコは懲りてませんね。

2013年3月21日木曜日

沖縄長寿県陥落!


今日は朝から浜内千波先生の撮影です。貝印のSELCT100のスライサーも使用していただいてます。
明日も終日撮影なので、ブログは短信です。
午後からは、キッチンステージの撮影で広尾のオステリアトットに行きますが、来週の月曜は埼玉県深谷の懐石料理亀山で撮影で、この所事務所にほとんどおりません。

新聞を読んでいたら、沖縄の女性が長寿日本一から三位に陥落して、長野県が一位になったとか。男性も大分後退しているようですね。
あれほど健康長寿だったのに、米統治下でカロリーの高いファストフード文化が浸透した上に、運動不足が重なったようです。

以前、魚柄仁之助さんとお話をしていた時に、「沖縄で食生活調査したけど、沖縄は皆が思っている健康的な食生活はしておらん!」
その当時は男女共に沖縄が長寿日本一の時代でしたが、魚柄さんは随分前から今日の予測を立てていたのでした。
これについては、再度書いてみたいと思っています。

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2013年3月19日火曜日

ベジファースト

本日より、浜内千波先生のキッチンラボでレシピ本の撮影です。
テーマは「ベジファースト! 食事の一番最初に野菜を取ることにより、
糖質の吸収を防ぐ」です。
貝印の低速ジューサー、フレビーナを提供しています。発売は6月の予定です。
では、撮影に戻ります。
本日のブログは短信でした。


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2013年3月18日月曜日

お花見弁当

今日発売の『週刊現代』のグラビアページ「ベスト・オブ・デパ地下弁当」のページに、ハルコ推薦のお弁当が幾つか登場しております。
桜も開花して、東京はいよいよ春本番ですね。


と、いうわけで今日はお花見弁当のお話です。
随分前から気になっているのが「弁当を食べる」という言葉ですが、正しくは「弁当をつかう」です。しかし、もう「弁当を食べる」が普通になってしまいましたね。

が咲き始めると、何だか気持ちが落ち着きませんね。今年はどこへ「花見」に行こうかと悩むところです。
そうなんです、「桜=花」なんですね。
自宅や事務所から近い場所だと、隅田川、上野、千鳥ヶ淵、青山墓地辺りでしょうか。
でも上野なんてもの凄い人ごみで、はなから行く気にはなれませんね。
もっぱら毎年、自宅から歩いて10分程の飛鳥山公園に行きます。自宅のマンションから飛鳥山の方角を見ると、霞んだ桜色がポチポチ見えてくると、お弁当とお酒を用意して出かけるのです。
いつも自宅から石神井川沿いへ、音無川に溢れている桜並木の散歩道を歩きながら、適当な場所を見つけ、お酒を飲みつつお弁当をつかいます。

昔は「桜なんか、花見なんか」と思っていましたが、今は桜を観ているだけでも楽しいですね。
ただ、桜は哀しい花ですね。ぱっと咲いたかと思うと、直ぐに散ってしまう。
よく桜は陰木と言います。だから陰木の下で陽気に騒ぐ。
逆に柳は陽木なので、その下にはよく陰気な幽霊が出る。
「さくら」の「さ」は稲の霊「早(さ)」を象徴し、「くら」は座の集まりを意味する、という説があります。
その年の五穀豊穣を祈願して、酒や食べ物を神様に捧げる宴をするのです。
今、生きていることに感謝したいと思います。

2013年3月15日金曜日

フランチェスコ1世

昨夜「からだが喜ぶ和だしのスープ」の校正が終わり、一段落しました。しかし来週は「ピーラーマジック!」(ピーラーを使ったレシピ本)の校了なのですが、来週からは別なレシピ本の撮影も始まるし、このところスケジュールに追われております。


アッシジの聖フランチェスコ教会で。

さて、ローマ法王がアルゼンチンの枢機卿からコンクラーベで選出され、“フランチェスコ1世”になったニュースはご存知だと思います。
意外だったのは、法王名を“フランチェスコ”としたことですね。
聖フランチェスコは、中世のカソリック教会の中では、一歩間違うと異端の烙印を押されそうな宗派でした。
ハルコ、実はこの聖フランチェスコに、並々ならぬ興味を持っていたのです。

最初は1972年製作の、フランコ・ゼフィレッリ監督「ブラザー・ムーン、シスター・ムーン」を観て感動したのがきっかけでした。
全てを捨てて、神のために、人々のために、という聖フランチェスコの人生に共感を覚えたのです。
そして今から27年前、初めてイタリア(実は新婚旅行)に出かけました。
当然、目的地は聖フランチェスコの教会のあるアッシジです。
その年は大寒波で、イタリア全土でストライキをしていました。太陽のイタリアではなく、陰気なイタリア初旅行でした。

アッシジに行きたかったもうひとつの目的は、聖フランチェスコの生涯を描いた、ジョットの壁画が観たかったのです。
ジョットはルネサンスの先駆けの時代の宗教画家で、ハルコ的にはジョットとロシアのアンドレイ・ルブリョフは双璧だと思っています。
やはり、ジョットの絵は大変素晴らしいものでしたが、今から10年程前の大地震で相当被害を受けたようです。

そして、これはそれより後の話ですが、聖フランチェスコが手足と脇腹に聖痕を受けた、ラベルナ山の洞窟まで行ってきました。
フィレンツェのイタリア人夫婦が、ハルコがそんなに聖フランチェスコが好きなら、と長時間かけて車で連れて行ってくれたのです。
そんなことを、新法王の誕生で思い出しました。

2013年3月14日木曜日

色、色、色……。

昨日、伊勢丹新宿本店の食品売場を見ていたのですが、スイーツコーナーが男性のお客様で長蛇の列でした。
いや、相当バレンタインでチョコレートをいただいたのでしょうか?
今日はホワイトデーですが、何で「ホワイト・白」なんでしょうね。
どうも、菓子メーカ-がバレンタインのお返し商法で考えた時に、白は「幸福を呼ぶ」「縁起が良い」と言う意味で「ホワイトデー」にしたそうです。
「純潔の白」というイメージは、オジさん達がスイーツ売場に並んでいるのを見るにつけ、若干違和感を感じます。
最初に決めたものが後の規範になるのは理解しますが、白じゃなくてもいいのではと思うハルコです。

先日も空が黄色くなって、黄砂かと思ったら「煙霧」だったそうです。
調べたら、黄砂もPM2.5も混じっていたらしいとかで、大変ですね。
昔、マルタ島へ旅行へ行った時に、毎日アフリカ(サハラ砂漠)から黄砂が来て、写真をいくら取っても、黄色いそればかりで困ったことがありました。
これからどんどんひどくなるのでしょうか。心配ですね。

4月に刊行する『からだが喜ぶ 和だしのスープ』には、中村新さん考案の“甘い黄金比率”の赤色、黄色、緑色の野菜スープをご紹介しています。
本日校正責了です。
あぁ、まだ終わっていない!

2013年3月13日水曜日

レシピの校正

本日は朝から伊勢丹新宿本店へ直行で、事務所には夕方近くに戻り、まだ今日のブログを書いていないことに気がつきました。
本当は、昨日からの続きの「箸」について、とも思ったのですが気分が乗らず。
今日は現在携わっているレシピ本の最終校正日でもあるので、レシピの校正のお話です。

キッチンステージでも、毎回シェフ達からレシピをいただくのですが、これが千差万別なのです。
脇雅世先生のような料理研究家のレシピは、ほぼ完成形に近いので楽なのですが、これが慣れていない方だともう大変です。
家庭料理でも、例えばハンバーグのレシピならハンバーグ本体、ハンバーグのソース、それにつけ合わせ、と一つの料理の中に3種のレシピが混在します。
これがプロの料理なら、一つの料理に料理本体とその味付けのたれやソース、付け合わせも3種類味違いがある、と一皿の中にレシピが8~9種類にもなります。
これもキチンと書いてあれば良いのですが、全てバラバラのメモ書きで、まるで暗号解読している気分です。
それがまたコース料理になっていると、レシピはどれとどれが関係あるのか、もうお手上げです。

現在もレシピ本の校正をしていますが、3~4日集中して撮影をしても、しばらく間を置いて作業にかかると、もう忘れてしまいますね。
撮影時には、レシピは簡単な材料表と料理人の覚え書き程度のものしかないので、改めてレシピを書き起こしますが、最初に決めていた食材が変わってしまったり、切り方が変更になっていたりと、これもパズルを解くような作業です。
材料表と料理写真を見比べながら、さらにモニターで拡大して(デジタルはこんな時楽です。昔は35mmフィルムをルーペで拡大して見てました)、この青いのはわけぎ?バジル?……材料表には無い!
レシピメモでは、切り方が小口切りになっているのに、写真はどう見ても拍子木切り!
こんな作業を繰り返してレシピ本を作るのですが、出来上がって見直してみると、まだ間違いや直す個所が見つかり……。

「誤字脱字の無い本は読まれていない本だ!」と言うことわざが、あるとかないとか……。

2013年3月12日火曜日

箸……3 濡れた箸!?

日本で生活している限りほとんど毎日、を持たない日はないと思います。
まぁ、洋食のみでフォーク、ナイフしか使わない、という人もいるかもしれませんが。
そんな、箸のお話の続きです。


以前、京都の祇園のとある有名な日本料理店に、予約を入れた時のことです。
個室は別にあるのですが、オヤジさんの手さばきを見られるので、L字型のカウンターでの食事でした。端には、超有名俳優さんがお一人で食事をしておりました。
カウンターに座っていたのは、ハルコとオクサマにその俳優さんと、後から入ってきた若い男性客の4人だけでした。
こういう店に一人でくる男性客は、修行中の料理人さんが多いのです。
大体見ていると判りますが、休みを取って勉強のために京都で食べ歩きしているのですね。お酒を頼まず、お茶だけで食事をなさってます。
そんなことを思っていたら、そのお客さんの前にお敷きが置かれ、当然箸が添えられました。
すると突然、「この箸、濡れているから替えてください」
店中の目がその若い料理人(たぶん)に注がれ、一瞬間が空いたのです。
ご主人は「はい」と言って箸を替えましたが、何を思っていたのでしょうか。

この話、当然だと思う人もいるのも事実ですが、箸が食事の前に手を洗う、もしくは拭くという行為の延長線上にあると考えれば、箸も水で濡らして清めているのです。
彼の文化レベルでは、箸は乾燥しているもの、一流料理店で塗れた箸が出てくるのは間違いで、箸を替えてもらって当然である。という認識だったんでしょうね。
彼は、食文化の奥深いことを学び損ねているんですね。
(続く)

2013年3月11日月曜日

箸……2 箸使いが下手だと線が引けない?

今日は東日本大震災から2年目ですが、まだまだ岩手、宮城、福島を中心に復興が遅れています。
未だに午後の14時46分は夢に出てきます。早く皆様に幸せな春が訪れますように……。


箸の続きです。
箸の上げ下げ、使い方は基本的に家庭での躾だと思いますね。
ふと思ったのですが、皆さんはお鮨を食べる時に、箸を使うか、それとも手で直にいただいているか、どっちが多いのでしょうか。
ハルコは基本的に直に手でいただいてます。
考えてみれば、すごいことですよね。
鮨職人さんが手づかみで酢飯に手を突っ込み、手で山葵を塗って、魚の切身を手でのせ、また両手で握って、そのまま客に出す。
世界中でこんな“へんてこな”料理があるでしょうか。インド系の方々がカレーを手で食べると言っても、鮨の方が過激だと思いますね。

手で握ったものを直に手で食べる。
これは、双方の深い信頼関係がないとダメですね。
ハルコは月イチ「はしぐち」で、いつかは橋口さんに、握ってもらった鮨を直接口に入れて貰える日を心待ちにしてます(親からエサを貰うひな鳥)。
手で直接食べる方が、箸という異物を通して食べるよりも旨いと思うのです。
海外では、直接手で握るのは不衛生ということで、ビニールの手袋を着けて握っていますね。
このことは、箸文化圏でない方々も箸を上手に使っているのを見ると、お箸の国の人もちゃんと使えるんだろうかと思います。

最近ではあまり見なくなりましたが、竹の物差しというのがありました。
現在のメートル法ではない百貫法の時代のものですが、小さい頃は竹でもメートル法の目盛の付いたものを使っていた記憶があります。
その竹には溝が彫られているのですが、何のためにあったのか皆さんはご存知しょうか?
実は、この溝と箸の正しい持ち方には深い関連があるのです。

昔、日本(アジア)では筆記具として筆が使われていたので、西洋の様にペンなど定規で直線を引くのが困難だったわけです。
そこで、古代の人は考えました。
竹の定規に溝を付けて、そこに滑らかに左右に移動出来る、先端が丸みを帯びている棒を使うことを考えついたのです。
その棒と筆を平行にして、左から右へ動かしながら描いていくと、筆でも真っ直ぐな線が引けると。
この技法は「溝引き」という名前ですが、ちゃんと箸が持てないとぐじゃぐじゃした線になってしまうのです。
いかに箸が生活の中で重要か、という一例ですね。(続く)

2013年3月8日金曜日

箸……1 直箸、取り箸

テレビのCMで、一家4人(父親、母親、娘2人)が、食卓ですき焼きを食べているシーンで、父親がすき焼きの肉を直箸で選んで迷っているのを、女性陣が非難するというのがありました。
ちょっと思う事があって、数回箸にまつわることを考えたいと思います。


茶懐石から本膳料理へと日本料理(和食)の格式が完成し、現在の我々の食に対するマナー“習慣付けられて”きたわけですね。
古くは小野妹子が遣隋使として隋に渡り、中国の箸食文化を持ち帰り、朝廷で採用したのは聖徳太子なのです。
およそ1400年の長い月日で、箸にまつわるマナーが完成・浸透してきたのですが、それは純粋に和食という文化の中で作られて来た世界観で、洋食や中華などが入り込んだ食卓では齟齬をきたしているのではないか、とハルコは思うのです。

取り箸が無い時に、自分の箸の元を持ち替えて、逆さまにして使うことがマナーだと思っている人は多いですが、あれこそマナー違反ですね。
自分の握っている部分で食材を持つことは、不衛生だからです。
ここで最初のすき焼きの話に戻ります。
家庭ですき焼きを食べる時は我が家では直箸ですが、ネットを見ていたら、思った以上に取り箸を使っている家庭が多いのですね。
すき焼きで取り箸を使うなら、しゃぶしゃぶでも使うのだろうか?と思うのです。
確かに、直箸だと見苦しい食べ方もありますが、韓国ドラマを見ていると、自分で直箸で取った料理を相手の器、もしくはスプーン(スッカラッ)にのせる場面をよく見ます。
最初は違和感があったのですが、それもひとつの文化作法と思えるようになりました。
(続く)

2013年3月7日木曜日

マニアのアマとプロ?

ブログのタイトルを2回続けて“○○マニア”としてしまい、「うむ、マニアって何?と思ったハルコでした。

マニアは元々ギリシャ語の狂気を表す言葉“madness"から出ているようで、英語の“mania"の語源だそうです。
近い言葉だと“エンスージアスト”や、“フリークス”なんてのもありますね。
最近あまり聞かなくなりましたが“オタク”もニュアンスは近いでしょうか。
あまり触れたくはない差別用語ですが、“釣キチ”の“キチ”や“○○バカ”の“バカ(良い意味ですよ)なんてのもありますね。
そこから少し引いていくと、“ファン”という言い方もありますが、ちょっと弱いですね。これが“熱狂的ファン”だと、度を超す人達でしょうか。

以前から思っていたことがあります。これを言うとボカスカされそうなのですが……。
どうして人は自分と直接関係ないことに対して、ファン心理として怒ってしまうのか?
何だかよく判らない書き方ですね。
例えば野球でもサッカーでも、自分の贔屓にしているチームが負けたとします。
その原因を選手なり、監督が悪いと言って、罵詈雑言を浴びせる人達がいますね。まぁ、贔屓の引き倒しってやつですかね。
自分がオーナーや関係者ならまだしも(入場券等を買っていれば、多少とも貢献していますが)、どうなんでしょうか。

『遊びと人間』という、フランスの哲学者ロジェ・カイヨワの本があります。これは、ハルコの座右の書で、常に机の上に置いてあります。
この中で、遊びを「競争」「運」「模擬」「めまい」の4つに分類しています。
その4つをさらに、程度に応じて軽い物から重い物までランク付けしているのです。

軽い方を「遊戯」、重い方を「競技」として、中間にも色々とランクしてます。
例えば、「模擬(ミミクリ)」は軽い方の「遊戯(パイディア)」から見て行くと、子どもの物真似、空想の遊び、人形、おもちゃの式具、仮面、仮装から、演劇・見世物全般まで広がっていくのです。
例えは変ですが、人が興味を持った事柄を学習し、仕事にしてプロになる過程とも似ていると思うのです。
マニアにアマとプロがあるかは判りませんが(たぶんあるでしょう)、本当のマニアは妥協しない人達なのでしょうね。

自分の仕事を考えると、趣味から派生して仕事化することも多々あり、マニア(専門家)と言われることもあるし、どうなんだろう? と思うのです。
まぁ、ハルコとしては永遠のアマチュアマニアでいたいですね。

2013年3月6日水曜日

調味料マニア


今日書くことは、矛盾する話です。
ハルコの師匠の分とく山の野崎洋光さんからは、随分と料理に関して色々と学ばせてもらいました。
最初の頃に教わったのは、料理にとってのだしの大切さについてでした。
「ちゃんとだしを引かないと(取らないと)美味しい料理にはならない」
てな、話から産まれたのが「だしポット」だったのです。
ハルコは師匠の言いつけを守り、ちゃんとだしを引き、料理に邁進したのです。

時は流れ、師匠曰く「素材に味が染み込んでいるというのは、調味料の味が染み込んでいるという意味で、料理は調味料を食べるのではない」
そこまで行くと、無理にだしを取らなくても、素材の味を充分引き出すことが大切だと。はい、ごもっともです。
師匠は素材を重視し、調味料はその素材の良い部分を引き出すためにあるのだと、ハルコに教え諭したのです。

そして本日より1週間、新宿伊勢丹キッチンステージで「調味料マニア」が始まります。伊勢丹と「ほぼ日刊イトイ新聞」のコラボで、優れた調味料がいかに料理を美味しくするか、そんな内容です。

調味料の中で一番重要なものは“塩”だと思います。
塩を語源にソースも産まれたのです。
まさに調味料界の王様で、砂糖は女王様ですかね。
素材に対して、それぞれの単機能を味として与えて料理に味付けをしていくのと、全体を総合的に調味料で料理の味を覆ってしまう。
どちらかというと、現代は後者の方向へ進んでいるような気がします。
さて、その辺を考えながら、「調味料マニア」をキッチンステージで試してみるのも面白いと思います。

2013年3月5日火曜日

フライドポテトマニア


あぁ、揚げたてのジャガイモはなんて旨いんだろう。

昨日の昼、ミーティングを兼ねた軽い昼食に、クラブハウスサンドイッチを頼んだのですが、お目当てはサンドイッチよりも、添えらているフライドポテト。
当然ハルコはビール付きです。
塩味が効いた熱々のフライドポテトをかぶりつき、ビールを一口。ポテトを数本口に入れて、ビールをごくり。本当にたまりませんね。

えっ、フライポテトにビールはカロリーが高いだろうって!
そうなんです。
食品成分表で見ると、フライドポテトは100g当たり237kcal。マックのL(170g)で571kcal。脂肪分も塩分も多いし、ハルコの大敵です。
ですが、その魅力には抗し難いのです。
大体の肉料理の付け合わせにもあるし、どんどん太れ、という存在ですね。


フライドポテトという書き方をしましたが、ジャガイモをスティック状に切って油で揚げるシンプルな料理のことを指す、和製英語ですね。
アメリカではフレンチフライ、フレンチフライポテトで、フランスではポンム・ド・テール・ポン・ヌフ。イギリスに行くとチップス。そう、フィッシュ・アンド・チップスですね。
ロンドンでもチップスの方が好きだだし、パリでもビーフステーキのポンム・フリットの方ばかり食べているくらいフライドポテトマニアなのです。

今回3枚のフライドポテトは上から順番に、銀座「マルディグラ」、新宿伊勢丹メンズ館「リージグ」、西麻布「アンバロン」です。

2013年3月4日月曜日

タッカンマリ

先日、月島の「韓灯(ハン・ドゥン)」で、“タッカンマリを食べる会”があり、参加しました。
タッカンマリ鶏一羽を丸ごと水煮にする韓国料理ですが、この「韓灯」は本場韓国よりも美味しいと評判の店なのです。


タッカンマリというのは“タッ”が鶏、“カンマリ(ハンマリ)”が一羽という意味で、丸ごとの鶏を水炊きにした料理です。
これを、各種調味料の濃口醤油、酢、芥子、タデギ(唐辛子やニンニクなどを混ぜ合わせた調味料)等のたれをつけて食べるのですが、スープ(タックッ)がメチャクチャ旨いんです。このたっぷり旨味の出たスープに、カルグクス(切り麺)を入れて食べ、さらに白いご飯をスープに入れて食べましたが、お腹が一杯でもするする入っていくんですね。

ハルコがタッカンマリを最初に食べたのは、朝鮮料理研究家のジョン・キョンファ先生の所でした。キョンファ先生の父上のジョン・ヂンシクさんはモランボンを創業された方ですね。
キョンファ先生からは、随分料理修業をさせていただきました。ナムルからはじまり、ビビンパプ、サムゲタン、ミヨックス、ユッケジャン……。
現在でも完璧に作れるのはナムルくらいですが、韓国、朝鮮料理の虜になったのは先生からの教えですね。
それに日本と韓国の食生活で、似ていながらも少しズレている話など、現在のハルコの知識の基本になっています。

キョンファ先生達が著した『調理師全書 朝鮮料理』(柴田書店)は、料理を調べる時に現在でも一番役に立っています。
個人的には、韓国・朝鮮の食文化をもっと掘り下げて勉強したいと、真面目に思っているハルコでした。

2013年3月1日金曜日

キューピー3分クッキングレストラン

早いもので、もう3月です。気分的には今日は2月29日ですが。
春一番も吹き荒れるわ、花粉は舞うわで、さすがに寒さも和らぎ、だんだんと春に向かっていますね。

今日、事務所の近所に「キューピー3分クッキング・南青山三丁目キッチン」がオープンしました。
今年で、キューピー3分クッキングが放送開始50周年を迎えるのを記念して、1年間限定でオープンの運びだそうです。
早速お昼に行ってみましたが、今日は関係者らしき人がが多く、満員でした。
ダイニングとキューピー関連商品のコーナもあり、楽しそうですよ。
キューピーの限定焼き菓子は売り切れでした(写真のみ)。
ダイニングでは、今まで3分クッキングに登場したメニューの中から、人気の高かったものを提供しています。
これは、伊勢丹のキッチンステージにも参考になるので、実食は後日ですね。

そういえば以前、3分クッキングのムックを制作したこともありました。
初代プロデュサーの中村壽美子さんは辣腕で、NHKの「今日の料理」と並ぶ、現在のテレビの料理番組の原型を作った方です。
料理番組の草分け「奥様お料理メモ」で、入江茂忠さん辻嘉一さんを登場させ、「味覚のしおり」「おやつの工夫」を経て、「キューピー3分クッキング」をスタートさせたのです。
そして、番組と連動させて料理テキストも出すという、現在ハルコ達が手がけていることの原型を、この方が創造したのです。
ちなみに、2代目のプロデュサーは元首相のお孫さんでした。