2011年9月16日金曜日

物語の中の究極の晩餐…その2 ヴァテル

物語の中の究極の晩餐と名したもの、晩餐(この場合は宴会)が実際に催されて歴史に残っているものは多々あります。
その中でも群を抜く豪華さや内容で知られているのが、今回のお話です。

太陽王ルイ14世の時代に、パリの北にあるフランス競馬の中心としても有名なシャンティイにあるシャンティイ城で、3日間の大宴会が行われました。
宴会のホストはコンデ大公、招かれたのはルイ14世です。
そしてこの3日間の宴会を仕切ったのは、フランソワ・ヴァテル(Francos Vatel)という料理人なのです。
コンデ大公がルイ14世を招く、本当の究極大宴会をヴァテルに伝えたのは2週間前!
そして、宴会に参加する人数は約2千人で、料理だけでも3日間で4回の食事を25のテーブルに5回のサービス。

第1日目は「太陽の栄光と大自然の恵み」(単なる食事会ではなくそれぞれの日でテーマがあるのです)。
第2日目は「水の饗宴」無数の花火が打ち上げられ、太陽王はこれを絶賛し、ヴァテルをコンデ大公からヴェルサイユに差し出すように命令。
そして問題の第3日目「氷の饗宴」で予定していた大量の魚が、嵐で荷揚げが無く到着しないという状況に陥り、宴会の最中にヴァテルは自殺してしまいました。
問題は第3日目が金曜日だったからです。これが木曜だったら、問題はないのです。
何故でしょうか? それは、カソリックでは金曜は“肉なしの日”(小斉abstinence)だからなのです。日本だって、時化だと魚が入荷出来ないですよね。
まして生魚の保存法や流通のあまり発達していない時代で、2千人分の魚の調達は……。

映画の「宮廷料理人ヴァテール(ヴェテル)では、主人公(ジェラール・ドパルデュー)が自殺した直後に魚が届いたのです。
まぁ、なんてドラマティックなんでしょうか!
ヴァテルはそのまま、秘密裏に埋葬されたのでございます(自殺は教会で禁止されているので、判るとルイ14世はその場を発たないといけない)。
なんせこの3日間だけでかかった費用が、1661年当時のフランスの年間の税収の140分の1で5万エキュ(なんと日本円で3兆円以上というから驚きますね)。本当に大プロジェクトなのに、準備期間がわずか2週間という短さ。
映画は豪華絢爛で時代考証もかなり忠実に再現されております。
ちなみにヴァテルはクレーム・シャンティイ(ホイップクリーム)の考案者とされています(実際にはその前にアンリ2世妃カトリーヌ・ド・メディシスの連れてきた菓子職人がやっていたのですが)。
ヴァテルの本は『ヴァテル 謎の男、そして美食の誕生』ドミニク・ミッシェル著(東京創現社刊)

●日々時々ゆめき哉

ゆめきでそろそろ、秋のものが多くなってきました。
名残り・旬・走りと組み合わせの楽しみですね。
ハルコを竹輪に入れてしまいました(すみません)。


新旧ボトルの交代です。

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